labo 第1話

枯れ果てた森の奥に小さな小屋。入口の扉の近くに“KAYANO”と書かれた可愛らしいプレートが見える。
部屋に入るとシンプルにテーブルとイスがある。そのほかに、テーブルの上に林檎が置いてある。
パタンと扉の閉まる音小屋に入ってきたのは一人の少年。
「こんな感じでいいよね」
明るい茶髪に白衣姿の少年は独り言を呟くと小屋を見渡す。
「早く見せてあげたいなぁ、“あの子”にも」
満足げに笑顔を浮かべ、小屋を出る。

少年がいなくなった小屋には林檎が一つ。真っ暗な小屋の中、カタンとイスが引かれ誰かが腰を掛ける。
腰を掛け、テーブルの上の林檎を見つめる。この林檎がこの小屋にとってどのような意味を示すのか考えた。
その林檎はただの林檎ではない。そう、わかっていた。



2014/09/05 執筆者:二宮千草

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